『人間失格』
刺激的かつ、
興味を惹き、
覚えやすい題名。
皆さんはこの題名からどのような内容を想像しますか?
私は『私の暗い過去、過ち』が浮かんできました。
危うく題名だけで読まずに満足してしまいそうになる作品ですよね。
実際、購入してから読み始めるのに1カ月ほど本棚で眠っていただいたのですが…。
その間、自分の学生時代、アルバイトや会社員、他者との付き合い方などなど、
多くの事を思い出し、夢にまで出てきました。
そうした後に、やっと1頁目を開き読み始めることが出来ました。
~はしがき~
この物語は三葉の写真から語られ始めます。
幼年時代、青年の学生時代、そして晩年と思われる頃。
ここでは作品登場人物からの語りではなく、
見知らぬ他者が偶然その写真を手にした際の印象で語られています。
そして、その印象がまた恐ろしいこと…。
さて、ここでまた私の手は止まりました。
昔の写真を見返したくなりますよね。
実家に居れば家族写真や卒業アルバムなどを見る事も出来たのでしょうが、
私の場合は残念ながらスマートフォンに残る写真のみ。
ですが、十数年分の写真が当時の映像と心境を呼び覚まし、前述した思い出巡りとは異なる場面が蘇ります。
心が軽く、明るくなりますね。
写真を撮ろうとしているくらいですから、楽しい思い出でいっぱいです♪
この作品はこういった脱線をしながら読んでみると面白いかも知れません。
その後、物語は写真の一葉毎に第一、二、三の手記として、
主人公である『葉蔵』からの視点で語られていきます。
読み進めていく途中にも『その場面と似た自分の過去』を思い出すことになり、なかなか読了までの道のりは長くなりそうです。
改めて過去の自分と向き合ってみたいと思われる人はこの作品を読んでみては如何でしょうか。
以下、Amazonさんへのリンクと記されている著者紹介です。
人間失格→Amazon
太宰 治 (本名:津島修治) ~1909-1948~
青森県金木村(現・五所川原市金木町)生れ。
東大仏文科中退。
在学中、非合法運動に関係するが、脱落。
酒場の女性と鎌倉の小動崎で心中をはかり、ひとり助かる。
1935(昭和10)年
『逆行』が、第1回芥川賞の次席。
翌年、第一創作集『晩年』を刊行。
※この頃、パビナール中毒に悩む。
1939年
井伏鱒二の世話で石原美知子と結婚。
→平静をえて『富嶽百景』など多くの佳作を書く。
戦後
『斜陽』などで流行作家となるが、
『人間失格』を残し山崎富栄と玉川上水で入水自殺。
補足:『グッド・バイ』は未完
以上、ありがとうございました。